2014年12月21日日曜日

日本軍 近代の歩兵戦法 (三)

戦闘群と疎開戦闘

疎開戦闘方式への転換

大正十二年に発布された歩兵操典草案から陸軍の採用する旧来の散開戦闘方式疎開戦闘方式へ移行することとなった。

疎開”という単語は、大正九年の草案では密集隊形と散開隊形の中間の隊形のことを指していたが、新草案では”疎開”は分散・散開・展開後の射撃から突撃中の隊形に至るまでを包含したものとなった。
また、大正11年になって軽機関銃が採用され、軽機関銃分隊が編成されるに至り、今までのような、ほぼ中隊単位で行っていた戦闘が、より下位の単位である小隊単位での戦闘へと移った。

その後、草案をもとにして昭和三年に新しい歩兵操典が施行され、明治四二年歩兵操典が改定される。
草案中で疎開戦闘方式を示す語は「疎開」であったが、昭和三年歩兵操典においては、「疎開」は一隊形を示す語のように見える等の理由からこれを「疎開戦闘」とし、純粋に疎開した隊形を示すものが「疎開」となった。

また、草案は第一部と第二部で分けられていて、第二部は戦闘原則等が記載されていたが、
これはのちの戦闘綱要となる戦闘綱要草案の方へと大部分が移されたため、昭和三年歩兵操典には存在しない。
これによって操典のページ数が削減されたかというとそんなことはなく、『歩兵機関銃及び歩兵砲操典草案』の記述が歩兵操典に取り込まれ、その他にも新しい記述も増えているため結局500ページ近い、内容の充実した操典となっている。

疎開戦闘

昭和三年歩兵操典における部隊編成は以下の通り


疎開戦闘の詳細は以下の画像の通り

疎開戦闘:大隊と中隊
疎開戦闘:中隊と小隊

疎開戦闘:小隊と分隊

戦闘群について⇒近代の歩兵戦法(四)
参考文献及び関連書


・兵用図書株式会社 発行 『歩兵操典』(兵用図書株式会社,1928)
・陸軍歩兵学校将校集会所  『歩兵操典草案 中隊教練の研究 全』(1927)
・浅井寿平 『改正歩兵操典の新研究』(文武書院,1929)http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1458274
・成武堂 編 『新歩兵操典の研究』(成武堂,1928)http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1129207
・兵用図書株式会社 発行 『野戦砲兵射撃教範草案』(兵用図書株式会社,1920)

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