戦闘各個教練
第三節 手榴弾の投擲
第六十六 兵は沈着して好機に投じ正確に手榴弾を投擲し得るを要す
手榴弾投擲の教育に方りては其の進歩に伴い各種の目標に対し不斉地、壕内、瓦斯内等に於いて実施し之に習熟せしむるを要す
第六十七 手榴弾の投擲に方りては目標、地形地物等に応じ姿勢及び投擲法を選ぶ此の際潜進して不意に投擲し得ば有利なり
数人にて投擲する場合に於いては概ね一斉に行う
手榴弾の投擲
手榴弾の投げ方は基本各個教練の第五節に記述された通りで、これに則って演練も行われる。
戦闘各個教練では、運動と組み合わせたり、具体的な目標が設定され、この目標に対して地形等に応じた投擲法を訓練する。
戦闘各個教練で教育が行われる課目は以下。『歩兵教練ノ参考(各個教練) 第一巻』
1、銃眼(側防火器)監視所等に対する投擲
成るべく地形地物特に死角を利用して必中を期すべき所に近迫し開口部に対し正確に投入す
状況に依り止むを得ず投擲距離より稍々遠き位置に於いて投擲せざるべからざる場合にしても而も開口部地上と略々同一高さに在るときは其の直前に於いて爆裂する如く投擲するを可とす
2、移動目標に対する投擲
発火より爆裂迄に要する時間と敵の移動量とを考慮し投擲の時機及び落達せしむべき位置を決定す
3、不斉地に於ける投擲
各種目標に対し実施す
4、不意に敵と遭遇せる場合の投擲
特に機先を制して投擲し機を失せず突入すること肝要なり
此の際特に沈着して安全装置を解き発火を確認して投擲し
或は指環を挿入せる指を確実に曲げて投擲するの注意必要なり
5、躍進して行う投擲
豫め手榴弾を取り出し一挙に迅速なる歩度を以って投擲位置に前進し直ちに状況に適する姿勢を取り手榴弾を投擲するものとす
6、壕内よりの投擲
壕内よりの投擲は一般に不便(脚の位置、体の捻転に制限せらる)なるを以って姿勢及び位置は壕の深さ、幅員、当時の状況に応じて定むべきも狭き壕内に於いては斜方向より投擲するを有利とすること在り
又防御しあるとき等時間に余裕ある場合に於いては投擲動作に支障を来さざる如く豫め壕の内斜面下部を広くし置くを可とす
7、数人同時の投擲
投擲時機を斉一ならしむる為一名をして発火の時機を告知せしむるの著意を必要とす
又敵の火点等に対しては相互に投擲すべき場所を協定し成るべく広く敵を圧倒するを可とす
8、瓦斯内に於ける投擲
一般の場合と大差なきも煙等の為目標の位置不明瞭となることあるを以って其の方向及び距離を判定して投擲することに慣熟せしむること緊要なり
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