歩兵銃の各部名称 |
据銃
第十一 据銃の要は照準、撃発間銃を動搖せしめざる如く之を臂上に安定せしむるに在り
膝射、伏射及逆射の姿勢に於ける据銃の要領及び其の要点概ね第一乃至第六図の如し
立射の姿勢に於ける据銃の要領は膝射に於けるものに準ず
⇒照準開始から弾丸が銃口を離れるまでの間の頬付け、肩付け、右手の握りを確実に行い、銃が動搖しないように、銃を左前肘を支柱とした左掌の上で安定させることが重要
膝射
伏射
逆射
※諸兵射撃教範には立射の据銃の図がないため、立射の据銃図は昭和4年の『小銃、軽機関銃、拳銃射撃教範』からの転載となる。
第十二 据銃するには両手を以って銃口を上ぐることなく体に近く迅速に銃を上げ
床尾板を肩の凹(くぼ)み即ち襟と肩頭との間に圧著すると同時に引鉄の第一段を圧す
此の際頭は据銃後其の位置に於いて直ちに照準し得る如く保持しあるを要す
第十三 据銃の動作は敏速にして而も銃は据銃と同時に概ね目標に指向せられあること緊要なり
之が為一挙動を以って確実に肩に圧著し銃の方向常に目標に指向せられある如く反復練習せしむるを要す
⇒『据銃の要は照準、撃発間銃を動搖せしめざる如く之を臂上に安定せしむるに在り』を行うためには6つの動作を一挙動で行う必要がある。これを一挙動据銃という。
その詳細は、
(1) 「床尾板を肩の凹(くぼ)み即ち襟と肩頭との間に圧著する(肩付け)」
(2)「引鉄の第一段を圧す」
→据銃まで引鉄には指を掛けない。指は用心金(鉄)内で伸ばした状態。
(3)「頬付けする」(4)「呼吸を止める」
(5)「左眼を閉じる」
(6)「銃は概ね目標に指向する」
腰狙射撃
射教第四部
附録 其ノ三 腰狙射撃
第一 森林、市街、村落及壕内等に在りて不意に敵と衝突し
正規の射撃姿勢を取るの遑(いとま)なく且一挙の突入困難なる場合等に於いては腰狙(こしねらい)射撃を行うを要することあり
第二 腰狙射撃は小銃、軽機関銃等を以って或は行進中或は瞬間停止し之を行うものにしてその要領概ね左の如し
小 銃
銃剣術構備(かまえそなえ/こうび)の姿勢に準じ銃を略々目標の中央に指向し
且つ左手を伸ばし銃を右下方に圧する如く確実に保持して発射す
而して銃を略々目標の中央に指向せんが為には
銃口を殆ど目標の下際に向かわしむる気持ちにて右手を挙ぐること緊要なり
第三 腰狙射撃は物質的効果を十分期待し難きを以って之が濫用を戒むると共に機を失せず突入するを緊要とす
銃剣術 構備の姿勢 |
照準
第十六 照準を行うには射距離に応ずる照尺を装し銃を左右に傾くることなく据銃すると共に
左眼を閉じ照準線を正しく照準点に向くるものとす
照尺を装するには右手の拇指と食指とを以て遊標(ゆうひょう)の両端を撮(つま)み
食指を以って遊標駐鉤(ちゅうこう)を圧し遊標の上縁を正確に表尺板上所望の分画に装置し表尺板を起こすものとす
照尺を復するには概ね装するときと反対の方法に依る
照準に方りては照星頂を常に照門の中央(谷型照門に在りては照門の中央にして両縁と水平)に在らしむるを要す
正しき照準並に各種不正なる照準の状態第七図の如し
第十七 精密なる照準は特に精神の沈着に依り求め得るものとす
照準時間過度に長きときは眼を疲労せしめ照準却って不精密となるに至る
而して照準に要する時間は目標の状態、視力等に依り一定せずと雖も四、五秒を標準とす
撃発
第二十二 撃発の要領は据銃と同時に引鉄の第一段を圧して呼吸を止め照準を始むると共に
躊躇することなく第二段を圧し照準完了すると同時に撃発し得るに至らしむるものとす
参考書籍として諸兵射撃教範の他、
『歩兵教練ノ参考(各個教練) 第一巻』
大日本射撃協会編『小銃射撃』
を参照した
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