2015年2月17日火曜日

基本各個教練(六) 軽機関銃の射撃姿勢・充填・号令

基本各個教練


射撃

軽機関銃

最新図解陸軍模範兵教典(1939)
第三十七 射撃姿勢を取らしむるには目標を示し左の号令を下す
但し高射に在りては方向を示し射撃姿勢を取らしめたる後目標を示すことあり
     伏射(高射)
不動の姿勢に在るとき目標(方向)を示さるるや先ず之に正対す
伏射の姿勢を取るには銃に注目して之を体に託し
両手にて脚桿(きゃくかん)を開き
右手にて提把を握り左足を約一歩前に蹈出(ふみだ)
銃把の概ね左足尖の右傍に在らしむる如く目標に対し銃を据え
床尾の両側に両手を著き概ね銃身の方向に一致する如く伏臥し
右手にて握把を握り装填したる後左手にて銃把を下より握り目標に注目す

歩兵隊第一期初年兵教育の参考
⇒図は全部十一年式軽機関銃
上の図の下部の説明は歩兵操典草案の文。

九六式軽機関銃の場合は、前記の操典の文章中にある通り、銃と体の方向は一致し、銃と体は一直線となる。
十一年式軽機関銃の場合は、銃と体の方向は一致しない。銃の構造上、約十度の角度をとることになっている。
(床尾が銃身軸に対して右に曲がっている為、銃と体を一直線にできない)

高射

軽機関銃の高射射撃
高射は二名協同して行う
高射の姿勢を取るには射手は伏射に於ける如く脚桿を開き
右手にて提把を握り銃を前に差出して他の兵に保持せしめ
両膝を開きて地に著(つ)け伏射に準じ銃を保ちて装填し左手にて銃把を下より握る
又他の兵は射手の前方約二歩に正対し両膝を開きて地に著け
射手の差出す銃の脚桿の踵鉄部(しょうてつぶ)を両手にて握り
両肘を外方に張り之を保つ

弾薬充填

第三十九 弾薬を弾倉に充填するには装弾器を取り出し吊紐を首に懸け
弾倉を取出して装弾器に装し押鉄(おしがね)を開き弾薬を撮み出し
次で左手にて弾倉を握り右手にて弾薬を装弾器内に込め
左手の食指にて弾薬を下方に圧し右手にて押鉄を一挙に内方に圧して充填す

※軽機関銃の装填(弾倉の装着)は歩兵操典の第二十九抽出(弾倉の取り外し)第三十に記述されている。

第二十九 (前半省略)軽機関銃を持ち不動の姿勢に在るときは銃に注目して之を体に托し両手にて脚桿を開き右手にて提把を握ると同時に左足を約一歩前に蹈出し銃を据え
右膝を地に著け右手にて提把を握り左手にて槓桿を引き之を旧に復し
弾倉室蓋を開き弾倉を装し安全装置にし右手にて提把を握り銃を取り
右足を左足に引き著けて起ち両手にて脚桿を閉じ不動の姿勢に復す

第三十 (前半省略)軽機関銃を持ち不動の姿勢に在るときは装填に準じ姿勢を取り
右手にて握把を握り注目して撃発装置にし
左手にて槓桿を引き之を旧に復し弾倉止を前方に圧しつつ弾倉を握りて前上方に脱し
残弾なきを確かめ槓桿を引き之を保ち
引鉄を引きて遊底を静かに前進せしめ弾倉室蓋を閉じ右手にて提把を握り装填に準じ不動の姿勢に復す

射撃号令

第四十 射撃は通常点射(三乃至五発)を用い時として連続点射を用う
射撃せしむるには予め射距離(照尺)、要すれば射向修正量、照準点を号令す
照尺、横尺(おうしゃく)に依るときは射手は之を装し其の結果を報告す
点射を反復〔移動〕せしむるには発数を示し左の号令を下す
    撃テ〔右(左)ヨリ撃テ〕
射手は概ね示されたる発数宛(づつ)発射す
連続点射を為さしむるには「連続撃テ」の号令を下す

射撃中止

第四十一 射撃を中止するには「撃方待テ」の号令にて据銃前の姿勢に復す
射撃を止むるには「撃方止メ」の号令にて射手は床尾を肩より下ろし
槓杆(こうかん/てこ)を引き之を旧(もと)に復し注目して安全装置にし
照尺、横尺を旧に復したる後
伏射に在りては頭を目標の方向にし銃を置きたる儘(まま)右脚を曲げ
両手を著き左足を約一歩前に蹈(ふみ)出し床尾の左側に起ち、
高射に在りては左手にて銃把を握り右手にて提把を握り銃を地に置きて起ち、
脚桿を保持する兵は射手提把を握るや姿勢を取りたるときと概ね反対の順序にて起ち
不動の姿勢に復す


据銃、射撃の詳細は『諸兵射撃教範』の分野なので別個に扱う。
軽機関銃の据銃・照準・撃発ほか(別のタブ/ウィンドウで開きます)

歩兵操典の続きはこちら。

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