基本各個教練
手榴弾ノ投擲
第四十七 投擲姿勢を取らしむるには目標を示し左の号令を下す
立投(膝投)(伏投)
不動の姿勢に在るとき目標を示さるるや先ず之に正対す
立投(たちなげ)
立投の姿勢を取るには銃を右手に持ちたる儘(まま)
両踵(かかと)を目標と概ね一線上に在らしむる如く立射に準じ姿勢を取り
銃を左臂に托し手榴弾を取出し安全装置を解きて発火の準備を為し
左手にて銃を提(さ)ぐ
膝投(ひざなげ)
学校教練教科書 前編 (術科之部)、1943 |
膝投の姿勢を取るには膝射に準じ姿勢を取り
右足尖を立て臀を右踵の上に載せ
銃を右前に置き手榴弾を取出し発火の準備を為す
伏投(ねなげ)
伏投の姿勢を取るには伏射に準じ姿勢を取り
銃を右前に置き手榴弾を取出し発火の準備を為し
臀(しり)を高くせざる如く左脚を腹部の下に深く曲ぐ
左手にて投擲するを利とする者は右手にて投擲する者に準じ適宜動作す
第四十八 投擲せしむるには左の号令を下す
投 ゲ
信管を発火せしめ其の発火を確認したる後投擲す
諸兵射撃教範
第百九十 手榴弾は近接戦闘に於いて其の爆裂に依り敵を殺傷、震駭するの効果著大なるものなり
故に幹部以下之が使用特に其の投擲に習熟し如何なる状況に於いても沈着して能く機に投じ確信を以て正確なる投擲を為し得るに至らしむるを要す
第百九十二 立投は上体を少しく後方に倒して体重を右足に移し左踵を上げ又は左足を地より離し右臂を後方に引き次で体を左に捻転しつつ旧位に復せんとする際一旦右臂を曲げ其の弾撥力を利用して前方に振り出し体重を左足に移し要すれば右足を地より離し右肘を十分伸ばして弾体を放つ
膝投は前項に準ず
伏投は左手を以って体を押上げ膝投の要領にて投擲し速かに旧位に復し或は其の儘(まま)起ちて前進す
第百九十三 手榴弾の投擲は当初目標を中心とする半径五米以内に落達せしめ得る如く演練し教育の進歩に伴い壕内、銃眼等に対しても有効に投擲し得るに至らしむるを要す
投擲距離は手榴弾の種類に依り差異ありと雖(いえど)も武装せる立投(膝投及び伏投)に於いて三十米(二十米)以上ならしむるを要す
歩兵教練ノ参考(各個教練) 第一巻
手榴弾の保持法及発火準備
一 信管式に依るもの
1、右手を以って信管頭を下にし且つ信管噴気孔を左右に向け拇指を以って左側面より他の四指を以って右側面より確実に弾体を握る(信管噴気孔を右方にするときは発火に際し掌を火傷することあり)
2,安全装置を解くには安全栓の索を撮み或いは口に銜(くわ)えて之を抽出す而して安全栓は挿入孔と同方向に抽出せざれば被帽脱落することあり
二 門管式に依るもの
1、手榴弾を取出すや先ず左手を以て弾体又は柄部を握り他の手を以って蓋を脱し
次で右手小指に指環を十分挿入して曲げ且つ確実に弾体或は柄部下端を保持す
発火並に投擲
一 信管式に依るもの
信管頭を平に堅硬物体に強く打著け発火を確認したる後直ちに投擲す
発火の確認は信管噴気孔より瓦斯の噴出に依り容易に確認し得
而して曵火時間短少なる為動もすれば発火を確認することなく投擲することあるを以って特に注意を要す
二 門管式に依るもの
指環を挿入せる指を伸ばさざる如く投擲す
指を伸ばすときは指環も弾体と共に投擲せられ不発火の原因となり
却って敵に逆用せらるる虞(おそれ)あるを以って注意を要す
基本各個教練はこの「手榴弾ノ投擲」の節で終り。
次からは戦闘各個教練となる。
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