2015年2月26日木曜日

戦闘各個教練(一) 要則・要旨

戦闘各個教練

戦闘各個教練は、分隊教練や小隊教練のような“部隊で行う戦闘教練”が行えるように、各個人に必要な基礎的動作を演練する教練。

第二章 戦闘 要則

第四十九 戦闘各個教練は兵をして散兵の動作に必要なる基礎を得しむるを目的とす之が為敵に対し地形地物を利用して前進し停止し射撃し突撃することに習熟せしむると共に特に攻撃精神を養成し以って自ら信じて戦闘し得るの能力を与うるを要す

⇒『歩兵教練ノ参考(各個教練) 第一巻』p.87
 戦闘各個教練の指導
分隊内の一員たる散兵の基礎の動作を教育するの趣旨に徹底すること
換言すれば分隊教練の準備の為に行うの趣旨に徹底するを要す


第五十 戦闘各個教練の教育に方りては最初は号令に依り動作せしめ要領を会得せば号令に依ることなく実施せしむ
戦闘各個教練は教育の各期を通じ絶えず之を行い又瓦斯内の戦闘に習熟せしむるを要す

号令に依り動作せしむる指導と号令に依ることなく実施せしむる指導とに就いて
2、戦闘各個教練に方りては最初は号令に依りて動作せしめ要領を会得せば号令に依ることなく実施せしむ
然れども課目に依り教育の初期に在りても号令に依ることなく実施せしむることあり
例えば地形地物を利用する射撃に於いて利用せしめんとする地形地物を指示して指導する際の如し
又反対に教育の末期に於いて号令に依ることなく実施せしむる際に於いても地形等に依りては途中より号令に依り動作せしむることあり
要は良く教育の目的と進度とに適応し教育の効果を最大ならしむること緊要なるを以って教官は変通自在其の適用を巧ならしむるを要す(歩教参考)pp.97-98

第一節 射撃 要旨

第五十一 射撃教育に方りては戦場に於ける諸般の状態に即し常に正確適切に射撃し得る如く訓練するを要す
之が為速やかに目標を発見し適当に之を選ぶこと、適切に照準点を定むること、視え難き目標を的確に射撃すること及び劇動後に於いても沈着して正確なる射撃を行うことに習熟せしめ
特に狙撃手及び軽機関銃射手に在りては此等に熟達せしめ且つ隠顕(いんけん)、移動目標をも機敏的確に狙撃し得しむ

⇒射撃教育に方りては戦場に於ける諸般の状態即ち射手、目標の状態、敵火、天候気象の状態に即し常に正確適切に射撃し得る如く訓練するを要す(歩教参考)p.98

速やかに目標を発見し適当に之を選ぶこと(歩教参考)p.100
偽装、遮蔽の発達せる今日目標を迅速に発見することは屡々(しばしば)訓練を実施するにあらざれば成果を収め難し
敵に先んじて之を発見し正確なる射撃を実施するは即ち機先を制する所以にして戦勝の第一歩なり

適切に照準点を定むること(歩教参考)pp.101-102
射撃に方りては其の平均弾道を目標の中央に導く如く照準点を定むること必要なり
之が為射手をして良く自己の銃の固癖を理解せしむると共に各種距離、天候気象の感
及び目標の状態に応ずる照準点修正の要領を綿密に教育し教練に於いて之を応用せしめ絶えず一発必中の信念を以って射撃せしむること緊要なり

視え難き目標を的確に射撃すること(歩教参考)p.103
戦場の目標は通常目視困難なること前述の如し故に常に目標を不明瞭に設置し之に対し正確なる射撃を実施する如く絶えず訓練すること緊要なり

劇動後に於いても沈着して正確なる射撃を行うこと(歩教参考)pp.104-105
劇動後不正確なる射撃を実施するは弾薬を浪費するのみならず却って敵に目標を呈し損害を招くに至る
故に劇動後に於いても常に正確なる射撃を実施し得る如く其の射撃の要領特に呼吸沈静法を綿密に教育し据銃、照準、撃発は常に射撃教範に示す如く実施し得るに至らしむるを要す

劇動「単に二、三十米の早駈を以って劇動とするが如きは操典の精神にあらず長距離の運動後真に呼吸の苦しくなるが如き状態に於いて訓練すべきものとす」p.105

隠顕、移動目標を機敏的確に狙撃すること(歩教参考)pp.105-106
狙撃手、軽機関銃手は前記諸項に熟達せしむるの外隠顕、移動目標を機敏的確に狙撃することに熟達せしむること必要なり
偽装、隠蔽を適切にせる目標は静止間に於いては発見困難なるも此等が隠見移動して目標を暴露する瞬間を捉えて狙撃するは射撃の効果を現す好機なり
戦場に於ける射撃は此の好機を機敏に捉えて的確なる射撃を実施し得るもの勝利を得べきことを考え狙撃手、軽機関銃手は勿論一般小銃手と雖も之が演練に力を用うること必要なり
而して此等の目標に対しては狙撃手、軽機関銃手は射距離七、八百米に於いても的確に射撃し得るを要す


第五十二 射撃の為地形地物を利用するの要は銃、筒の最大威力を発揚するを主とし併せて遮蔽の効果を収むるに在り
故に兵をして目標及び敵火の状態に応じ各種の地形地物に就いて価値を判別し
要すれば之を改修し適切に利用して射撃することに習熟せしむ

⇒…地形地物の利用に方りては常に遮蔽に注意すること緊要なり
而して地形地物の利用は状況に即すること緊要にして徒に遮蔽の効果を収めんとして却って姿勢の堅確を害し或は攻撃精神を消磨するが如きは厳に之を戒めざるべからず
平素の精神教育と相俟って主眼を失せざる如く指導すること緊要なり(歩教参考)p.106


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