2015年2月27日金曜日

戦闘各個教練(二) 地物・胸墻・地形を利用した応用姿勢他

戦闘各個教練

小銃

第五十三 射撃に方りては地皺又は土塊と雖も巧みに利用して姿勢を堅確にし或は銃を地物に托し或は銃の脚を用い射撃効力を発揚す
銃を依托するときは銃口を少なくも約十糎地面より離す
胸墻(きょうしょう)に拠る射撃は身体の前部又は左側を内斜面に接し両肘又は左肘を臂座(ひざ)に置き銃を胸墻に托す
又樹木に拠る射撃は適宜左前臂を之に托す

第五十四 地形地物を利用する膝射の姿勢に在りては右足尖を立て臀を右踵の上に載せ或は臀を上げ或は両膝を立て両肘を其の上に置き或は左肘を膝より離して立射の如くする等適宜応用姿勢を取ることあり
傾斜せる土地に於ける伏射の姿勢に在りては体の角度を増減し又は片肘を開閉し或は脚を曲ぐる等の手段に依り体を安定にし据銃を確実にす

第五十五 対空射撃の為には通常逆射若しくは膝射の応用姿勢を用う
状況に依り伏射を用うることあり

地皺の利用
地皺、土塊及び草株(歩操 53)
1、戦場に存在する小なる地形地物と雖も之を巧みに利用するときは射撃の為大なる効果を現すものなることを会得せしむ

2、地皺、土塊等は射撃姿勢の安定を図る如く之を利用す之が為左肘は右肘より僅かに高く腹部は両肘の位置より稍々(やや)低きを可とす

3、地物の大きさに依りては銃を依托し又は左前臂を托するを有利とすることあり

4、単に遮蔽に利用する場合は通常銃を地物の右より出すを可とす

5、土塊又は軟き畑地等に於いては要すれば若干の改修を加え肘の位置へ安定を図るべし
歩兵教練の参考(各個教練) 第一巻』pp.107-108

左は左前臂の全部を土塊に依托した例、右は左前臂を一部土塊に依托した例  
『青年教練指導草案 第一巻』  

野戦築城教範第一図
銃を依托する際に銃口を地面から10cm程離すのは、射撃時に地面が極端に近いと土や砂が銃腔に入り易いため。
胸墻(きょうしょう)」は、塹壕の敵側の縁に持った土のこと。
内斜面(ないしゃめん)」は、壕内の斜面のこと
臂座(ひざ)」は、壕にある肘をつける部分のこと


学校教練必携 前編 (術科之部)
胸 墻(歩操 53)
1、操典第五十三に依りて実施し左手は銃の床尾を下より握り床尾板を肩に圧著するを通常とす
此の際左肘は勉めて前に出せば据銃確実となる
身体の左側を内斜面に接したるときは一般の場合の如く銃床を保持することあり

2、骨格及び断面に応じ左の如き方法を以って射撃動作を容易ならしむること緊要なり
 イ、応用膝姿、立姿に在りては両脚の開度を調節す
 ロ、足及び肘の位置胸墻上面を改修す
 ハ、止むを得ざれば依托を止め普通の据銃を行う

3、銃口を地面と少なくも約十糎離隔せしむる為要すれば改修す
(歩教参考)p.109

樹 木(歩操 53)
1、遮蔽の為利用すること多し

2、銃の安定に利用する場合は膝射、立射に在りては左前臂を樹木に托するを可とす
時として樹木に銃の側面を托し銃の静止を求むるを可とすることあり

3、根の張りたる大なる樹木は根に銃を依托するか或は地皺に準じ利用するを可とす

4、樹の股、切株に銃を依托し得ることあり

5、利用に腐心し却って姿勢の堅確を害せざること必要なり
(歩教参考)p.108

地形地物を利用する膝射の姿勢(歩操 54)

傾斜せる土地に於ける伏射の姿勢(歩操 54)
傾斜地での伏射の姿勢の例


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